働き方 仕事の未来 グローバル 世界的な新型コロナウイルス感染拡大がもたらす働き方の変化

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2020.04.03

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、私たちは現在、仕事や働き方に対する変化を余儀なくされています。

パンデミックによって引き起こされる社会的、経済的な影響をできるだけ抑えるために、現在、全世界の20億人以上の人々が、部分的、または完全な都市封鎖(ロックダウン)の状態に置かれています。
経済的な影響も大きく、国際通貨基金は2020年の世界経済の成長率は11年ぶりのマイナスに陥るという見通しを発表しました。さらに、世界各地で行われているロックダウンは、最長で18か月間続く可能性があるとも言われています。

このような状況下、世界的に、そして日本でも在宅勤務を推進する企業が増えており、オンラインミーティングなどテクノロジーを用いたコミュニケーションやコラボレーションが世界中で行われるようになっています。

歴史を振り返ると、危機的状況下で起きた社会的な変化や行動変容が、危機的状況を脱した後も当たり前のこととして行われるようになったという例が見受けられます。そうしたことを踏まえると、今回の新型コロナウイルスの感染拡大がもたらした働き方の変化も、今後一般的になっていくという可能性も十分に考えられます。

では現在、世界各地で起きている仕事や働き方の6つの変化を見ていきましょう。

1.社会課題の解決における企業の役割の変容

コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴い、多くの企業はその役割を変容させています。
例えば、化粧品メーカーがハンドジェルなどの手指消毒剤を製造したり、自動車や航空宇宙機器メーカーなどが、コロナウイルス対策に必要な換気装置などの機材の製造を手掛けています。また、教育分野においては、世界各国でオンラインでの授業に切り替える大学が増えており、休校となった学校や大学を支援するために、多くの企業がeラーニングなどを提供しています。  

2.企業の社会的責任を考える重要性の増大

現在の危機的状況下において、人財を最優先に考えていないと見なされる企業は、難しい立場に置かれ、世間から見放される可能性があります。企業の社会的責任がこれまで以上に求められる時代を迎えようとしているのかもしれません。企業は、その存在意義を再認識し、社会的使命や価値を考えなければならないと言えます。  

3.共生社会の実現

新型コロナウイルスの世界的流行が終焉した後、企業は従業員との関係性を変える必要が生じるかもしれません。
企業は、従来の方法で働くことのできない従業員を受け入れる必要がでてきています。リモートで働くことのできない人々は、今後、今回のような危機的状況に陥った際に、より自身を保護するための制度を求めるはずです。また、フリーランサーなどギグエコノミー下の労働者の増加によって、社会保障などのセーフティネットの整備や、労働者の保護などもますます求められるようになるでしょう。 

4.リモートワークの浸透

これまでリモートワークは難しいと言われていた人も、この状況下において、リモートワークが可能であることが証明されているケースが数多く生まれています。テクノロジーを利用することで、通勤ラッシュを回避し、通勤時の混雑によるストレスから解放され、場所や時間にとらわれない、柔軟な働き方が今後より望まれるかもしれません。また気候変動の影響も相まって、長距離の出張もテクノロジーが取って代わる時代がやってくるかもしれません。  

5.新しいリーダーシップの在り方

リモートワークの進展に伴い、新しいリーダーシップが求められるようになります。オフィスで顔を合わせることなくリモートワークで働くメンバーたちをリードし、チームとしての成果を上げるためには、これまでにない知識やスキルが必要となります。企業は、リモートワークにおけるチームビルディングやマネジメント、対面を前提としないコミュニケーション方法といった教育を、マネージャーに対し行う必要が出てきます。  

6.業務の自動化の促進

パンデミックによって、AI(人工知能)の活用や機械化など、職場におけるテクノロジーの進展が加速されることが考えられます。
物流、倉庫および搬送における移動式ロボットや自動運転車などの市場は、2030年から2040年にかけて、約3倍以上に拡大すると言われています。  


新型コロナウイルスの感染拡大に、まだ終わりは見えません。しかし、この危機的状況下において、これまで実践してこなかった新たな方法で仕事を行うことができるという証明がされつつあり、こうした経験は仕事や働き方に恒常的な変化をもたらす可能性を秘めています。新型コロナウイルスの世界的流行が終焉した時には、リモートワークがあたりまえの世の中になり、そうした柔軟な働き方を下支えする企業文化も醸成され、さらには企業はどんな環境にも適応できるようになり、仕事の自動化も加速している――。そんな“仕事の未来”を目にするかもしれません。