考えるのは挑戦するリスクではなく“挑戦しない”リスク。CEOの目線から見えたもの

2018.08.13

若者のキャリアを支援したい。その想いのもとアデコグループでは世界47カ国で行なうグローバルインターンシッププログラムを実施しています。各国で選ばれた1名が1カ月間CEO業務を体験する「CEO for One Month」。CEOさながらに考え行動する。このインターンシップには多くの学びがあります。

1カ月間、CEOの業務を体験するプログラム。その倍率は、約7000倍

▲2018年の「CEO for One Month」に参加した、小杉山浩太朗さん

リーマンショック以降、世界的に若年層の失業率が高まったことを発端に、アデコグループでは、10代20代向けの就職支援プロジェクト「Adecco Way to Work™」をスタートさせました。「Adecco Way to Work™」のプログラムは大きく 3種類から成り立っています。

ワークショップなどを通じてこれからのキャリアの築き方や関心のある仕事について学ぶことのできる「Experience Work Day」、アデコのコンサルタントとしての就業など、長期間でインターンシップに取り組む「Internship Opportunities」、そして「CEO for One Month」です。

なかでも「CEO for One Month」は、アデコグループが2013年にスタートしたインターンシッププログラムで、毎年、全世界で同時期に実施しています。

2018年の夏も47カ国で開催され、各国で選ばれた1名が1カ月間、それぞれの国のCEOのもとで、CEO業務を体験しました。同時に47名の若者は、その間、さまざまな課題をクリアしていきます。

この1カ月間のインターンシップの後、各国のCEO for One Monthのなかから10名が選ばれ、最終選考会であるBoot Campに参加します。Boot Campを経て最終的に選出された1名は、「Global CEO for One Month」として、スイス・チューリッヒの本社でグループCEOのもとでCEO業務が体験できる仕組みになっています。

今回、日本におけるCEO for One Monthにチャレンジした小杉山浩太朗さんは、ニューヨーク大学に通う21歳。応募者約7000名の中から選考を勝ち抜きました。

2017年にはニューヨークの国連本部でインターンシップを行なうなど、「日本だけではなく世界全体を良くしたい」という強い意志を持ち、これまでもさまざまなことに果敢にチャレンジしてきました。

そんな小杉山さんが、CEO for One Monthとして1カ月間、CEO業務にチャレンジするため、日本に一時帰国することを決意しました。

小杉山さん

「世界の人口が増えていく中で、日本の人口は今後減少していきます。そのような状況の中では、日本人もグローバルシティズンとして世界に貢献する必要があると考えたときに、自分にはどのようなことができるのか。それを探したくて、海外ではなく日本でCEO for One Monthにチャレンジしようと思ったんです」

小杉山さんの旅路はもっと前にはじまっていました。17歳の時に小中高大一貫教育という安定を捨て、単身で海外へ飛び出したのです。

社会の本質を見たい。サステイナブルなアウトプットを意識した

▲大学の授業での一枚。小杉山さんは、17歳の頃から海外で学生生活を送っている

小杉山さんは、日本の教育に疑問を持ったことがきっかけで、世界各国から選抜された高校生を受け入れるユナイテッドワールドカレッジ(以下、UWC)のカナダ校・ピアソンカレッジに進学。

その後、ニューヨーク大学に進学し、現在は、政治、経済、法律、倫理などの幅広い分野を、グローバル規模の歴史をひもときながら考えていく、グローバルリベラルスタディーズを専攻しています。

小杉山さん

「僕は将来、日本の社会が、グローバルコミュニティになるだろうと考えています。教育はその将来に対しての投資であり、その投資を受ける身 として、当時日本で受けていた教育が自身にとって正しいのかと考えたときに、疑問が残りました。

僕は教科書などに書かれている事柄を覚える“Study”より、物事の本質を考える“Learn”をしたいと思いました。それができるところはどこだろうと考え、UWCに行くことに決めました。

現在、大学では多様性をコミュニティの強みとして活かし、多くの問題を抱える国際社会に貢献できる方法を見つけるために学んでいます」

そんな小杉山さんがCEO for One Monthへの応募を決めたのは、グローバルに事業を展開しながらも日本に根を下ろしビジネスを展開する企業を通して、社会の本質を見たいと思ったからでした。

小杉山さん

「僕はLinkedIn(リンクトイン)で、このインターンシッププログラムを見つけました。2月だったと思います。

思い立ってすぐ、志望動機などを書いて応募し、4月の第一次選考の際には22時間だけ日本に滞在し、とんぼ返りでニューヨークへ戻りました。その後、5月の最終選考に進めるという連絡をもらい、どうしてもこのインターンシップをやりたいという気持ちが強かった私は、再度日本に帰国し、翌日最終選考へと向かいました。

最後の課題は、アデコグループ・ジャパンCEOの川崎健一郎さんの前でのプレゼンでした。『2030年の世の中や働き方をどう考えるか』というテーマが与えられ、『僕がCEOならこうする』という、僕自身の考えと思いを語ったんです」

こうして2018年CEO for One Month日本代表に選ばれた小杉山さんは、次に続くGlobal CEO for One Monthに向けた課題をクリアするだけでなく、何か形として残るものをつくりたいと考えていたのです。

小杉山さん

「せっかくこの機会をいただいたので、僕がアデコグループにいたという爪跡を残したいと思いました。アデコグループのためになるようなことをしたかったんです。これまでカナダやアメリカで取り組んできたことを生かそうと考えました。

もともとサステイナブル(持続可能)なことをしたいという思いがあったので、インターンシップ自体は1カ月間ではありますが、単発的なインプット、アウトプットにならないよう、自分自身も学びながら、できることは最大限やっておこうと心に決めました」

 

こうして、小杉山さんのインターンシップが幕を開けました。

こんなに斬新なインターンシップはない。CEOとの対話を通して得た気づき

▲1カ月間、日本法人のCEOとして就労。「何をするべきか」を自ら考え実践した(写真奥はCEOの川崎健一郎)

CEOとしてのインターンシップは、いわゆる“かばん持ち”ではありません。CEOさながらに、会社や社会のために何を提供できるのかを自分の頭で考え、自ら率先して動くことで人を動かし、物事を進めていくのです。

小杉山さんは、タスクを与えられることは一切なく、自ら何をしたいかを提案し、さまざまな現場にも足を運びました。

小杉山さん

「最初は、さまざまな拠点に行って現状を見たり、新卒の方と一緒に飛び込み営業をしてみたり。またそれとは真逆で、経営会議に出て、経営陣のプレゼンを聞きながら自分の意見を語る機会もありました。

これほどまでにフレキシブルに色々なことを経験させてもらえて本当に感謝しています。こんなに斬新なインターンシップはできないだろうなって思ってるんです」

さらに小杉山さんは、「爪跡を残す」という当初の目的を果たすべく、さまざまな取り組みを行ないます。

「Young Executive Board」という未来について考える、若者からなる提言グループを創設したり、自らが2週間限定のチーフ・ダイバーシティ・オフィサー(CDO)となりアデコグループ・ジャパンにおけるダイバーシティ宣言を行なったりと、次々とアイデアを形にしていったのです。

そして、CEOの川崎との対話を通し、さまざまな学びを得られるのもCEO for One Monthの魅力。

小杉山さん

「川崎さんとはビジョンについて話すことが多かったですね。抽象的な話もしたんですが、僕が現場に行ってきて思ったことを『こういうことがありました』『こういうふうなアイデアはいかがでしょうか』と、遠慮せずに語ることができましたし、そんな僕の話に川崎さんは熱心に耳を傾けてくれ、アドバイスもいただきました。

もう1点気づいたのは、リーダーとは何かということ。斬新な発想があるだけではなく、ちゃんとそれを行動に移して、成し遂げる力があることかなと思いました。実際に行動として実行する、というところが重要なんですね。

それと、リーダーは『するリスク』よりも『しないリスク』を深く考えるべきということも学びました。

たとえば提案があったときに、『それをしなかったら、長期的にはこういうリスクがあるでしょう。とはいえ短期的に見ると、それをすることにもリスクはある。でも本当に必要なことなのであれば、そのリスクを取ってでもやろう』っていうような判断が大事だということ。リーダーとしての違いはそこにあるんだなと感じました」

小杉山さんは、今回の経験を通して、日本に拠点を置く企業に対して持っていたステレオタイプの印象が変化したと言います。

小杉山さん

「はじめて本当の日本を知ったような感じがしたんです。これまでは、みんな定時で働いていて、固定された席に座って、書類も積まれて、というようなイメージがありました。

でも実際は、席がフリーアドレスだったり、お互いを役職ではなく、さん付けで呼んでいたり、勤務時間もフレキシブルだったりと、アデコグループへ来てそのイメージが一新されました。

特に川崎さんは、ビジョンに合ってないことはしないという姿勢をお持ちで、そのブレない芯を持った姿を見ていて、多くのことを学べました」

トップとして大切なことは、“Why”を共有すること

▲アデコグループの社員と。Whyの共有や実直に行動に移すことの大切さなど、多くの学びがあった

今回小杉山さんが得た、最も大きな気づき。それは“Why”の共有の重要性でした。

小杉山さん

「結局、何をやりたいかよりも、“なぜやりたいのか”が重要だということが身に染みて理解できました。

アデコグループで印象的だったことのひとつが、『リーダーズダイアログ』。川崎さんや役員の方が、全国の拠点で何千人もいる全社員と時間をかけて対話をするという取り組みです。

そこで、今会社で進行している施策をなぜ行なっているか、なぜ新しいことに取り組まなければならないのか、つまりWhyの重要性を改めて共有するんです。

今後、日本全体のグローバル化が進んだときに、あらゆる価値観、バックグラウンドを持った人に、同じ想いを共有していくのはすごく難しいことだと思います。いかにその想いを伝えていくのか、ストーリーテリングというところでも、今後は川崎さんを見習っていきたいです」

海外生活を通して、改めて日本が好きで、日本に貢献したいという気持ちを持っていることに気づいた小杉山さん。そのアイデンティティを将来に生かしていきたいと考えています。

小杉山

「海外に行ったときに、自分の心の中にいかに日本が根付いているかに気づかされました。

わかりやすい例で言うと、自己紹介をするときに聞かれなくても日本出身と言っていたり、『やっぱり日本のクオリティは素晴らしいよね』と言われるとすごく嬉しかったり。日本のことを誇りに感じたんです。

今後はグローバルなアプローチで、日本に貢献できる何かに取り組んでいきたいと思っています」

クラスルームや座学の講義でも学べることは多くあります。しかし、小杉山さんのように実際に働く経験をすることで、その何倍もの学びや気づきを得ることができると、 アデコグループは考えています。

今後もアデコ グループは、Adecco Way to Work™を通じて、将来を担う若者のキャリア形成を支援し続けていきます。

 

Written by PR-Table

 

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