職場への安全な復帰のために

A Safe Return To The Physical Workplace: Best Practices

2020.06.04

 

5月にアデコグループは、しかるべき時に企業と従業員が安全に仕事へと戻れるようにするための、健康と安全に関するガイダンスを作成するべく、人財サービス業界におけるアライアンスを創設することを発表しました。本日、本アライアンスは13の国と5つの業界から得た400を超える前例を参考にした、実践的なガイドを公開しました。

私たちは現在、困難な時代に生きています。世界中で完全または部分的なロックダウンが敷かれたことにより、世界の労働力の81%を占める27億人もの労働者に影響がおよびました。今回のCOVID-19のパンデミックによって世界中で1憶9500万人の雇用が失われると予測されています。ヨーロッパだけでも5800万人もの雇用が失われる危険があるとされており、アメリカと同様に、芸術、エンターテインメント、宿泊施設、食品業界に携わる労働者たちがもっとも仕事を失うリスクにさらされています。さらに、世界の2079名の企業の重役に対して行った調査によれば、各国の政府による経済的ダメージ軽減の努力にも関わらず、世界的な経済の回復は時間がかかり、弱々しいものとなるとみられています。

 

協力の必要性

世界中の国々、企業、そして働く人々にとって、COVID-19がもたらした混乱はこれまでに類を見ないチャレンジとなっています。しかし、経済が段階的に再開していき、企業が事業を再始動していくにあたって、そうした活動が安全に行われるようにすることが重要です。

新しい現実に適応するには、物理的距離やその他の厳格な方法が必要となるでしょう。従業員と雇用者の両方を支援するために、明快なガイドライン、プロセス、およびプロトコルを導入しなければなりません。従業員、顧客、事業提携者の皆さまの健康と安全が私たちにとって何よりも大切です。この度のパンデミックで従業員の8割がリモートワークを行ったアデコグループでは、従業員が安全にオフィスへと戻れるような支援を行ってきました。こうした支援をさらに発展させ、他の企業がパンデミック後の労働環境のための備えを行えるよう、先月人財サービス業界はアデコグループ、マンパワーグループ、そしてランスタッドらが率先してアライアンスを創設しました。従業員、労働組合、NGOといったステークホルダーにも参加を促し、各国政府にもこうした試みを支援し、活気づけ、そして支持してもらうよう強くお願いしています。

仕事に戻るために好事例を集めてシェアする

世界で最大級の民間の雇用者および雇用・労働市場のエキスパートとして、人財サービス業界は団結して「新たな日常」に向けて備えるための大きな貢献をすることを目標としています。

運送とロジスティクス、自動車、製造および生命科学、建設、そして食品ら5つの業種から教訓を得て、それらをフランス、ドイツ、イギリスなど13カ国で分析した結果をまとめるべく、アライアンスは400を超える健康および安全に関するプロトコルを参照した白書を公開いたしました。この白書は事業を再開しようとしている企業や組織のための実践的なガイドとして意図されています。

ただし、事業再開が安全なものとなるべく、企業は以下の3つの領域に対応できる行動計画を作成する必要があります。

1. 危険の確認と管理

事業者は根絶可能な健康上の危険を分類するのと同時に、働き方を変えることで物理的距離を確保したり、個人を保護する装備を提供するなどして、根絶は難しいが管理可能なリスクがあることも知りましょう。

2. 事業再開に向けたロードマップと計画の評価と作成

企業は事業再開の計画を行う際には従業員にも関わってもらうようにし、他の企業から得た教訓や好事例を参照しましょう。さらに、健康と安全に関するプロトコルを活用するため、管理職や従業員とよくコミュニケーションを取り、彼らをトレーニングすることが重要となります。

3. 導入、測定、評価、フィードバックのループ

計画と明快なタイムテーブルについて合意を形成したあとは、組織が一丸となり、チームとして真剣に努力することによって、より素晴らしい結果を得られるでしょう。計画を作る時と同じように、計画を実施するための努力も会社で行い、企業のあらゆる階層および部署を巻き込むものでなければなりません。

 

 

COVID-19の感染拡大を防ぐためのより具体的なステップに関して、企業は以下のようなことに留意することが望まれます。

• 職場における健康上の危機を避けるために、可能であれば、従業員にはリモートワークを行うことを推奨し、連絡もオンラインで取るようにしましょう。

• 内外のコミュニケーションは極めて重要です。経験則から言えば、コミュニケーションが足りないよりも、コミュニケーションを取り過ぎるくらいの方が望ましいでしょう。安全衛生に関するルールや従業員の健康に関するオンラインでのトレーニングを実施するなど、健康に関するトピックを伝えるのに最も適したチャネルとツールを選ぶようにしましょう。

• 個人用保護具や衛生用品を十分な量で提供できるようにしましょう。企業は手洗いのための休憩を取るよう促したり、オフィスの外で新鮮な空気を吸うための時間を設けるようにしましょう。

• 政府の要請に即した物理的距離のルールを制定し、活用することが重要です。従業員としっかりコミュニケーションを取りながら、床、壁、廊下、仕事場にマークを付けるなど、彼らがルールを守れるようにサポートしましょう。

• 感染を減らすには物理的な障壁を設けることが鍵となります。透明なスクリーンを用いたり、従業員同士やお客様との距離を保つために床にテープを張ってエリアを分けたりしましょう。

• ドアの取っ手、手すり、エレベーターのボタン、蛇口、休憩室など、すべての「タッチポイント」を清潔にすることが重要です。清掃はスケジュールを組み、きちんと手順を決め、従業員の目にしっかりと見える形で行われなければなりません。

• すべての健康管理、健診、および調査は、政府の発令する職場およびプライバシーに関する規則に則ったものでなければなりません。また、従業員の健康を観察するためにも、いかなる活動も政府の要求に対応することが望まれます。

• 感染の報告および管理に関して、企業は地方自治体あるいは政府が発表する手順および勧告を順守し活用することが求められます。

• 出張とロジスティクスに関して、いずれは移動に代わる新たな勤務体系が導入されるということを念頭に置いたうえで計画をすることが事業者に求められます。現場で働く主要なスタッフの出退勤および勤務中の移動に関しては、好ましい移動手段を定義するためのプロトコルを作成しましょう。

• ビジネスを継続させるために、チームによる総合的なアプローチを維持することで、毎日・毎月の業務を管理し、COVID-19の脅威が大きくなる中でも安全で効率的に職場を機能させるためにも、不慮の事態に備えた計画を更新していきましょう。

• 企業内で高い地位にある指導的立場の社員は、パンデミックに対する対応への努力を自らの責任にて行い、他の社員をリードする必要があります。パンデミックへの対応に取り組むにしても、その取り組みを企業内の安全と健康に携わるスタッフに委任するばかりで、彼らに100%の支援もサポートも与えないのでは、その取り組みは失敗してしまうかもしれません。



多くの企業が現在リモートワークや休業から、物理的距離に関する要請を守りながら事業を行う新しい形の経済へと復帰しつつあるなか、アライアンスが作成した白書では実践的なアドバイスと好事例を提供しております。 この白書の内容を直ちに取り入れていただければ、企業と従業員の両方の利益となるでしょう。

 

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