「直行直帰」導入で顧客訪問の時間を大幅アップ 社員に合わせたマネジメントがポイントにーリコージャパン株式会社

Case Study2 「直行直帰」導入で顧客訪問の時間を大幅アップ
社員に合わせたマネジメントがポイントにリコージャパン株式会社

取引先に直行し、会社に戻らず帰宅する「直行直帰」の導入などワークスタイル変革を進めるリコージャパン。大手企業や官公庁を担当するMA事業本部の営業部門で、営業プロセス変革を担当する高橋理恵氏はその経緯をこう語る。

「ワークスタイル変革は、社員がお客様を訪問する回数や時間が不十分なのでは、という問題意識から始まりました。お客様の拠点への移動時間が長く、そのうえ、発注処理など社内で行う事務作業も多いことが原因でした。解決策を模索していたときに東日本大震災が発生。各階ごとに輪番停電を実施し、営業社員は全員直行直帰体制に。すると、顧客と接する時間が3割も向上したため、本格的に導入することにしたのです」

営業社員は、朝、自宅から顧客先へ直行し、その後近くのサテライトオフィスで事務処理をこなす。さらに数社顧客を訪問し、夕方に最寄りのサテライトオフィスで報告書などを作成、提出後に直帰という流れだ。効率よく働くことを目的とし、基本的に働く場所は自由。このワークスタイルを実現するにあたり、ITインフラ、ファシリティ(施設や設備)、業務プロセス、マネジメント、の4点から改革を進めたという。

「業務プロセスを見直すため、営業社員にヒアリングしたところ、受注後の事務処理などが業務全体の42%も占めていました。そこで、一部を営業支援スタッフへ移管し、営業活動に費やす時間を増やしました。また事務所で行っていた見積書に社印を捺す作業は、電子押印を導入してPDF化を推進。これら業務内容の見直しと電子化によって、営業社員の事業所内作業はかなり削減されました」

ITインフラとしては、ハードディスクを持たず情報漏えいの心配がないシンクライアントPCを全員に配布し、社外持ち出しも自由に。また、名刺ファイルの持ち運びを不要にするため、名刺管理ソフトを導入し、PCやスマートフォンで共有・閲覧できるようにした。ただし、このようなモバイル環境を整えれば直行直帰が定着するかといえば、そう簡単ではない。

「一人で仕事をしていると、孤立し、思考が行き詰まってしまうこともあり、会社に戻ってしまう人もいます。また、上司はフェイストゥフェイスを伴わないやり取りだけでは、部下の状況やモチベーションを把握しにくく、評価しづらいという声もありました」

実際、直行直帰を導入すると、自己管理の上手な人とそうでない人に分かれるという。そこで、一律の直行直帰体制を改め、必要に応じ出社するグループ、週1日以上の出社を義務付けるグループ、直行直帰は原則なしのグループ(若手中心)と区分を設けた。部下の指導についても、結果報告が中心だったものから案件ごとに訪問の目的を申告する方式に変更し、SFA(営業支援システム)の日報、チャット、テレビ会議などを促進。さらに、適時上司が営業同行するなど、上司と部下のコミュニケーション量を増やして、きめ細かいマネジメントを行っている。

ファシリティ面では、オフィスのフリーアドレス化とともにサテライトオフィスをターミナル駅近くに設置した。

「サテライトオフィスは横浜、大宮など事業所の一角を利用していましたが、利便性の問題もあり、利用率が低かった。そこで東京、品川などターミナル駅にサテライトオフィスを4カ所設置したところ、利用率がぐっと上がりました」

このような改革を実行した結果、2011年と比べ12年は顧客訪問の時間が事業部全体で1.5倍に増え、一人あたりの売上高もアップした。同時に、残業時間は約3割も減った。高橋氏は、改革に成功した理由を次のように分析する。

「現場からの声を丁寧に拾い、できない理由を潰していくこと、ときにはトップダウンで一気に変革すること、そのためにトップ直結の専任変革組織を設置することの3つではないでしょうか。トップ直結のプロジェクトにすると、社内調整がスムーズに行えます。また、私たちは継続的な専任チームなので、強い意志を持って実行できました」

リコージャパン株式会社
MA事業本部 プロセス革新部
営業革新グループ チーフ
高橋理恵 氏

今後はサテライトオフィス、コミュニケーションツールをより充実させ、さらなる生産性向上を目指すという。

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