「7つの人材タイプ」で自律的にキャリア形成ー株式会社リコー

Case Study 「7つの人材タイプ」で自律的にキャリア形成株式会社リコー

「7つの人材タイプ」を設定し、社員自らがキャリアを考えていくキャリアマネジメントを導入しているリコー。2007年度より「ありたい姿の実現に向け、自ら取り組み、自ら学ぶ」という趣旨のもと、自律的キャリア形成支援へと人事方針を刷新した経緯を人材開発部の加藤直子氏が語る。

「環境や市場が急激に変わっていく中で、会社が今後も成長するためには多様な人財が必要です。会社主導で教育を施すのではなく、自らキャリアを考え、自ら能力開発をし自律的に動く多様な人財が求められます。中期経営計画を策定する中で各部門の代表者が、これからはどんな人が必要なのかを議論し、『7つの人材タイプ』に集約されたのです」

その7タイプとは、ビジネスリーダー(事業トップと機能トップ)、新規事業創造リーダー、プロフェッショナル、高度スペシャリスト、プロジェクトマネジャー、マネジャーだ。これらが成長戦略を実現する鍵となる人財タイプと定義され、社員は自分がどのタイプを目指していくかをイメージしながら仕事や学びを行っている。

株式会社リコー
コーポレート統括本部 人事統括センター
人材開発部 部長
加藤直子 氏

ありたい姿と会社が求めるタイプを擦り合わせる

「導入当初は、マネジャーに対し、部下の現在の仕事の現状や今後の希望を共有し、部下のキャリア形成のために取り組むべきことについて対話してほしいと、『育成面談』制度から始めました。時間はかかりましたが、3年かけて浸透を図りました。すると、次に"考えたキャリアプランと実際の仕事とのつながりが薄い"という課題が発生したのです」

そこで導入されたのが「目標統合プログラム」。これは従来の目標管理制度に、キャリア目標と能力開発を融合させたものだ。では、どのようにしてキャリア目標と実際の仕事の整合性を合わせるのだろうか?

「ポイントは、①Will ②Can ③Mustです。①自分は何をしたい/どうなりたいのか②自分はどんな強みがあり何ができるのか③会社が求める人財像とは? この3要素を、各種手法を使い体系的に整理します。そして、3要素が重なる部分が、目指すキャリアとなるのです。このキャリアデザイン方法を、キャリアデザイン研修(30、40、50歳時)や、3年目社員研修などで伝えてきました」

それでもうまくキャリアが描けないという社員には、人事部員が相談員となり、個別に相談に乗ってサポートする制度もある。運用から10年が経ち、全社的にキャリアの自律意識が醸成されてきたと実感しているという。

「以前は、社員は会社や上司が育ててくれるという期待が強く、導入当時はプランを書くのが苦手な人が多かったのですが、今はだいぶ書けるようになってきました。年に2回、上司との面談を行いキャリアプランを書くため、真剣にどうなりたいかを考えるようにもなります。定期的に考える機会をつくるのもポイントです」

スペシャリスト系の昇進コースも整備

また従来、キャリア目標が不明瞭になりがちだったスペシャリスト系職種では、マネジメント系職種との複線型の資格制度が整備されたことにより、キャリアイメージを描きやすくなったという。

「プロジェクトマネジャー(PM)の場合では、自薦、または部門推薦で応募者を集め、スキルやプロジェクトの実績(規模や成果)を総合的に審査し、年に1回、PMC(PMコンピテンシー)認定を行っています。2014年末でPMC認定者は87人を数えています」

このように、自らのキャリアプランを描き、仕事や学びに挑戦していくための仕組みは構築されてきたが、人材開発部として今後の課題もあるという。

「今後50代以上の社員比率が高くなる一方で、新規事業、成長事業での人財確保、効率的な人財活用が必要です。これら経営課題への対応と、個人の自律的なキャリア形成を一致させ、組織の活性化につなげるキャリア支援に取り組んでいます」