Adecco Groupは、世界のビジネスリーダーを対象に実施した2025年度の調査レポート「AI時代のリーダーシップ:期待と現状(Leading in the age of AI: Expectations versus reality)」を発行しました。日本を含む世界13カ国17業界の2,000人の経営幹部層に調査を行っています。
今回の調査では、ほとんどの企業はAI(人工知能)による急速な変革に対応するための人財戦略がまだ十分に確立できていないことが明らかになりました。ビジネスリーダーの多くがAIに投資しているにもかかわらず、働き手を支援し、スキルを培い、AIによるディスラプションをリードするために体系的な計画を策定している「未来に対応している」企業はわずか10%であることが分かりました。
今後5年間は、AIと相互補完できる適応力の高い働き手層の育成を経営層が目指す中、テクノロジーのメガトレンドが主導権を握ることになるでしょう。既存の人財アプローチが目的に合わなくなる一方で、多くの経営層が、注力すべき方向性を定め、迅速に取り組んでいくことが難しい状況にあります。
2030年までに最も影響の大きいメガトレンドは、デジタル・トランスフォーメーション(DX)、生成AI、AI(人工知能)の3つ。スキル不足は下から2番目まで低下する予想
リーダーが挙げた、事業成長における人財リスクの第1位は「ディスラプション(創造的破壊)のペースに取り残される人財戦略」
自社の経営層が、戦略や次のステップに関して迅速に足並みを揃えることが難しい状況にあると回答したCEOの割合。
企業は働き手が主体的にAIスキルを学ぶことを期待していますが、テクノロジーに関するガイダンスは提供していません。
責任あるAI(レスポンシブルAI)フレームワークを整備した企業は、人間中心のアプローチをとり、スキル育成のための支援を強化しています。こうした企業は、人財戦略の改善・強化について報告する傾向がはるかに高いです。
AIの影響に適応するために、働き手がスキル、役割や責任をアップデートすることを期待していると回答したリーダーの割合
AIに関する方針を整備しておらず、職場でテクノロジーをどのように利用するか、働き手に判断を任せている企業の割合
責任あるAI(レスポンシブルAI)フレームワークを導入している企業のうち、自社の働き手のAIスキルを向上させている割合。
フレームワークを持たない企業では、51%のみ
適応力の高い、新たな企業群が出現しつつあります。こうした企業は人間を中心に据えています。
そして、AIを使いこなす力を蓄え、社内で使用機会を増やし、スキルを開発し、リーダーシップを強化しています。こうした取り組みによって、変化する人財環境に対応する準備をさらに整えているのです。
「未来対応型」とされる組織の割合
「未来対応型」の組織のうち、人員計画をジョブベースのアプローチからスキルベースのアプローチに移行している割合。
「未来対応型」の組織のうち、経営層によるAIの活用により意思決定力が高まっていると回答した割合。対して、全体平均は49%
企業はデジタル・トランスフォーメーション(DX)の加速に必要なスキルをまだ獲得できていません。またここでも、変化のペースが大きな障壁になっていると答えています。強固なデータ基盤を構築するとスキルギャップを把握しやすくなりますが、データに投資している企業は多いとは言えません。
DX加速への最大の障壁は「テクノロジーとデジタルスキルの不足」(2025年)。2024年調査での最大の障壁は「適切なテクノロジーの選択」
より良い理解とスキルを培うためにデータインサイトに投資している企業は、わずか3分の1
「未来対応型」の組織のうち、人員計画のために技術的ソリューションを導入し、データインサイトを向上させている割合。対して、全体平均は61%
【調査概要】
調査対象:世界13カ国の経営幹部層
サンプル数:2,000人
実施期間:2024年11月~2025年1月
調査実施国:日本(250)、カナダ(100)、米国(300)、ベルギー(100)、フランス(150)、ドイツ(150)、イタリア(100)、オランダ(100)、スペイン(150)、スウェーデン(100)、スイス(100)、英国(150)、オーストラリア(250)
計13カ国
詳細な調査結果についてはレポートをご参照ください。