働き方 仕事の未来 組織 外国人が長く働き続けられる環境整備や魅力づくりが不可欠|キーワードで見る2022年の雇用・労働④ 外国人労働者

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2022.03.16

新たな変異ウイルス「オミクロン型」の感染が急増するなど、コロナ禍の先行きはまだ予断を許さないものの、2022年の世界経済は本格的な回復軌道に向かうと見られる。
デジタル化とグローバル化に加え、カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向けた世界的な潮流が産業構造を大きく変えつつあり、企業には引き続きビジネスモデルの転換やイノベーション創出が求められていく。
DX(デジタル・トランスフォーメーション)やGX(グリーン・トランスフォーメーション)を支えるような人財の獲得・育成もますます重要になるだろう。
テレワークをはじめ、コロナ禍での働き方の変化を、生産性向上につなげる発想も欠かせない。個人にとっては、ビジネス環境が大きく変わるなかで、ライフキャリアを自律的に形成していく姿勢がますます求められる。
こうした状況を踏まえ、企業と個人が2022年を生き抜くうえでヒントになるような雇用・労働のキーワードについて、専門家に語っていただいた。

外国人労働者の受け入れは、2022年の雇用・労働におけるホットなテーマとなりそうだ。感染防止のためのいわゆる「水際対策」として、政府が外国人の新規入国を停止したことなどから、現状では外国人労働者の受け入れは滞っている。しかし前述のように、コロナ禍に直面しても日本の有効求人倍率は1を下回ることはなかった。

2022年の経済活動の再開に伴って、人手不足は深刻化する可能性が高く、外国人労働者をどう確保していくかは企業にとって重要な課題になる。

2019年4月には改正出入国管理法(入管法)が施行され、人手不足が顕著な業種を中心に外国人労働者の受け入れを増やすため、「特定技能」という在留資格が新設された。最長5年の「1号」と、在留期間を更新することで事実上無期限で就労でき、家族も帯同できる「2号」という2種類の在留資格がある。2号は熟練技能を持つ労働者が対象で、現状では業種が「建設」「造船・舶用工業」2分野に限られる(図参照)。

外国人労働者 特定技能2号の業種拡大

    滞在期間・家族帯同 対象業種
特定技能 2号 在留期間の上限なし
家族帯同可能
建設、造船・舶用工業
1号 最長5年
家族帯同不可
介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電子・電気情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業

出典:法務省「特定技能制度」より

「一部の報道によれば、政府は現在、2号の対象業種を大幅に拡大することを検討している模様です。すでに外国人抜きでは成り立たない業種は数多くあり、『最長5年で帰国されてしまうのは困る』というのが実態だと思います。これまでは『技能実習』と『特定技能1号』までが中心でしたが、中長期的には外国人の雇用形態の主力は2号に移行していくでしょう」(濱口氏)

ただし、日本の外国人労働者の受け入れには課題が少なくない。

「今後コロナ感染が収束し、新規入国が再開しても、外国人たちはすぐには日本に来てはくれないでしょう。今後も緊急事態宣言が繰り返されると、せっかく入国しても仕事が止まってしまう恐れがあるのも一因ですが、それだけではありません。最大の問題は、グローバル視点で見たときに、働き先としての日本の魅力が相対的に下がっていることです」(山田氏)

日本では、外国人労働者には低賃金で単純労働を任せたいという考えが根強くある。しかし、東南アジアをはじめとする新興国の賃金水準が上昇しているなか、人件費コスト削減のための外国人就労を想定してきた日本企業は発想の転換が必要だ。

前述の在留資格の条件緩和のような政策的な対応だけでなく、企業や自治体も巻き込んだ受け入れ環境の整備が求められる。言語の壁を取り除くための日本語教育の推進や、医療機関における外国人への円滑な対応など、課題は多い。

「技能をしっかり身につけた優れた外国人労働者たちに、家族と一緒に安心して日本で暮らしてもらえるにはどうすべきか。政府・企業・地域社会にとっての大きなテーマになっていくのではないでしょうか」(山田氏)

Profile

山田久氏
日本総合研究所 副理事長

京都大学経済学部卒業後、1987年に住友銀行(現・三井住友銀行)入行。経済調査部、日本経済研究センター出向を経て、1993年に日本総合研究所調査部出向。調査部長兼チーフエコノミストなどを経て2019年より現職。2015年、京都大学博士(経済学)。著書に『賃上げ立国論』(日本経済新聞出版)など多数。

山田久氏

濱口桂一郎氏
独立行政法人労働政策研究・研修機構労働政策研究所長

東京大学法学部卒業。労働省(現厚生労働省)入省。
東京大学大学院法学政治学研究科附属比較法政国際センター客員教授、政策研究大学院大学教授などを経て現職。専門は労働法政策。近著に『働き方改革の世界史』(筑摩書房)。

濱口桂一郎氏