調査

企業の人事担当者1,500人を対象にしたデスクワークの社員の人事制度に関する調査:
人事制度見直しの理由は、「新型コロナウイルス感染症の拡大」から「人的資本経営の推進」へと変化

  • このページをFacebookでシェアする
  • このページをTwitterでシェアする
  • このページをLinkedInでシェアする

人財サービスのグローバルリーダーであるAdecco Groupの日本における事業を統括するAdecco Group Japan(本社:東京都千代田区、代表:川崎 健一郎)は、この度、日本全国の人事担当者1,500人(従業員数1,000未満の企業に所属:750人、従業員数1,000人以上の企業に所属:750人)を対象に、主にデスクワークを行っている従業員の人事制度に関する調査を実施しました。

なお、本プレスリリースでは、従業員数1,000人未満の企業を「中・小規模企業」、1,000人以上の企業を「大規模企業」と呼称いたします。

【調査結果のポイント】

  • 人事担当者の約5割が、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が初めて発出された2020年度中に人事制度を見直したと回答:見直しに至った要因の1位は、「新型コロナウイルス感染症の拡大」であった。
  • 2020年度中に人事制度を見直した中・小規模企業は4割未満だったのに対し、大規模企業は6割以上が見直したと回答:見直しに至った要因の1位は両者とも「新型コロナウイルス感染症の拡大」だったが、2位は中・小規模企業が「社会状況への対応」、大規模企業が「DXの推進」と、優先事項に違いが見られた。
  • 人事担当者の約5割が、2023年度以降に人事制度を見直すと回答:見直しを決めた要因の1位は、「人的資本経営の推進」。
  • 2023年度以降に人事制度を見直す予定の中・小規模企業は4割未満なのに対し、大規模企業は約6割が見直す方針:見直しを決めた要因の1位は両者ともに「人的資本経営の推進」で、人的資本経営の重要性が高まっていることと、新型コロナ対応の優先順位が低くなっていることがうかがえる。
  • 大規模企業は約3割がすでにリスキリングに取り組んでおり、5割以上が取り組む方針だと回答。一方、中・小規模企業は、すでに取り組んでいるのは1割程度のみで、4割は取り組む方針もないと回答していた。
  • 1on1ミーティングやコーチングを導入しているのは大規模企業でも4割未満、中・小規模企業では1割程度で、今後広がる余地が大きいことがうかがえる。


<調査結果についてのコメント>
今回の調査の結果について、アデコ株式会社コンサルティング事業本部長の増山 辰祐は、次のように話しています。
「今回我々が行った調査で、アンケートに回答した企業の約半数が2020年度中に新型コロナが理由で人事制度を見直したと答えており、新型コロナが日本の企業に与えた影響の大きさを再確認しました。

2020年度中の人事制度の見直しに至った要因について、1位は大規模企業と中小規模企業どちらも新型コロナの拡大でしたが、2位は大規模企業が『DXの推進』だったのに対し、中小規模企業は『社会状況への対応』という違いがありました。中小規模企業は、将来への先行投資よりも、そのときどきの状況へ対応する必要に迫られている企業が多いことがうかがえます。

しかし、2023年度以降に人事制度を見直すと答えた企業においては、その規模に関わらず、見直しに至った要因の1位に『人的資本経営の推進』を挙げていました。人的資本経営が企業規模を問わず重要視されていることを表しており、注目すべき結果だと考えています。

2020年に経済産業省が『人材版伊藤レポート』を公表したことがきっかけで、人的資本経営が注目を集めるようになりました。人的資本経営とは、人財を資源ではなく資本として捉え、積極的かつ継続的な投資によってその価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値の向上につなげる経営のあり方です。2023年3月期決算から、上場企業をはじめとする大手企業約4000社を対象に人的資本の情報開示が義務化されたことで、企業の課題感もより一層高まりました。中小企業においても、今後開示が義務付けられる可能性があります。

人財への投資が重要である大きな理由のひとつとして、従業員のスキルや働きがい、そしてエンゲージメントを高めることにより、労働生産性の向上を実現できることが挙げられます。労働力人口の減少が今後さらに加速すると見られている日本において、これは非常に重要なポイントです。また、そのような企業は人財にとっての魅力が高まることから、優秀な人財の採用にもつなげることが可能です。人的資本経営の推進は、企業の規模に関わらず、今後の成長するためのひとつのカギとなるでしょう。

企業においては、この人的資本の情報開示の義務化を、文字通りの義務ではなく機会と捉えることが大切です。すべての項目を開示することを求められているわけではなく、項目を選んで開示することができますので、自社のビジョンや戦略に合わせ、どの項目をどのように開示していくのか、そして、どんなストーリーを描いて改革を推進していくのかを決めていくことが、今後の企業経営においてはより重要になってくるでしょう」

アデコ株式会社
コンサルティング事業本部長
増山 辰祐

2000年にアデコ株式会社へ入社。BPOサービスのスーパーバイザー(SV)からキャリアをスタートさせ、マネージャー、センター長を経て、SVの人事制度・教育制度を担当する部門への異動により人事領域を担当。その後、派遣社員の無期雇用への転換の推進や同一労働同一賃金の導入への対応といった全社プロジェクトの責任者を歴任。2021年1月より現職。



<調査結果詳細>
(1-1)人事担当者の約5割が、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が初めて発出された2020年度中に人事制度を見直したと回答:見直しに至った要因の1位は、「新型コロナウイルス感染症の拡大」
日本全国の人事担当者1,500人に対し、「あなたの勤務先では、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が初めて発出された2020年度中に、人事制度を見直しましたか?」と質問したところ、49.9%(748人)が「見直した」と回答しました。

続いて、2020年度中に人事制度を見直したと回答した748人に対し、「見直しに至った要因は何ですか?」と質問したところ、もっとも大きな要因として挙げられたのは、「新型コロナウイルス感染症の拡大」(36.9%)でした。




(1-2)2020年度中に人事制度を見直した中・小規模企業は4割未満だったのに対し、大規模企業は6割以上が見直したと回答:見直しに至った要因の1位はどちらも「新型コロナウイルス感染症の拡大」だったが、2位は中・小規模企業が「社会状況への対応」、大規模企業は「DXの推進」
「あなたの勤務先では、新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が初めて発出された2020年度中に、人事制度を見直しましたか?」という質問に対し、中・小規模企業(従業員数1,000人未満の企業)所属の人事担当者で「見直した」と答えたのは39.6%でした。一方、大規模企業(従業員数1,000人以上の企業)所属の人事担当者は、60.1%が「見直した」と回答しました。

2020年度中に人事制度の見直しに至った要因の1位は両者とも「新型コロナウイルス感染症の拡大」(中・小規模企業:39.1%、大規模企業:35.5%)でしたが、2位は中・小規模企業が「社会状況への対応」(17.2%)だったのに対し、大規模企業は「デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」(16.2%)と、優先事項に違いが見られました。






(2-1)人事担当者の約5割が、2023年度以降に人事制度を見直すと回答:見直しを決めた要因の1位は、「人的資本経営の推進」
日本全国の人事担当者1,500人に対し、「あなたの勤務先では、2023年度以降に人事制度を見直しますか?」と質問したところ、46.4%(696人)が「見直す」と回答しました。

続いて、続いて、2023年度以降に人事制度を見直すと回答した696人に対し、「見直すことにした要因は何ですか?」と質問したところ、もっとも大きな要因として挙げられたのは、「人的資本経営の推進」(21.6%)でした。




(2-2)2023年度以降に人事制度を見直す予定の中・小規模企業は4割未満なのに対し、大規模企業は約6割が見直す方針:見直しを決めた要因の1位は、両者とも「人的資本経営の推進」
「あなたの勤務先では、2023年度以降に人事制度を見直しますか?」という質問に対し、中・小規模企業(従業員数1,000人未満の企業)所属の人事担当者で「見直す」と答えたのは37.6%でした。一方、大規模企業(従業員数1,000人以上の企業)所属の人事担当者は、55.2%が「見直す」と回答しました。

2023年度以降に人事制度を見なすことを決めた要因の1位は、中・小規模企業と大規模企業ともに「人的資本経営の推進」(中・小規模企業:19.1%、大規模企業:23.2%)となり、人的資本経営の重要性が高まっていることと、新型コロナ対応の優先順位が低くなっていることがうかがえました。






(3)大規模企業は約3割がすでにリスキリングに取り組んでおり、5割以上が取り組む方針と回答。一方、中・小規模企業は、すでに取り組んでいるのは1割程度のみ、4割以上が取り組む方針もないと回答
日本全国の人事担当者1,500人に対し、「あなたの勤務先では、従業員のリスキリングに取り組んでいますか?」と質問したところ、大規模企業所属(従業員数1,000人以上の企業)の人事担当者の31.1%が「取り組んでいる」と回答しました。また、28.4%が「取り組む方針であり、具体的な計画がある」、24.9%が「取り組む方針だが、具体的な計画はない」と回答しました。

一方、「取り組んでいる」と回答した中・小規模企業(従業員数1,000人未満の企業)所属の人事担当者は11.6%のみでした。40.5%は、「取り組んでおらず、計画もない」と回答していました。




(4)「1on1ミーティング」や「コーチング」を導入しているのは大規模企業でも4割未満、中・小規模企業では1割程度であり、今後活用が増える余地が大きい
日本全国の人事担当者1,500人に対し、近年注目を集めている人事関連の制度の導入状況について質問したところ、もっとも導入されていたのは「1on1ミーティング」と「コーチング」(どちらも24.1%が「導入済み・導入決定済み」と回答)でした。

ただ、「1on1ミーティング」を導入しているのは大規模企業でも36.4%(中・小規模企業は11.7%)、「コーチング」も大企業で34.7%(中・小規模企業は13.5%)と、まだ浸透しているとは言えず、今後広がる余地が大きいことがうかがえました。



※本リリースに基づく内容をご掲載の際は、必ず「Adecco Group Japan調べ」と明記していただきますようお願いいたします。

【調査概要】
調査対象: 主にデスクワークを行う従業員の人事制度の策定や改定に関わる業務に携わる人事担当者
サンプル数:1,500人(従業員数1,000未満の企業に所属:750人、従業員数1,000人以上の企業に所属:750人)
調査方法:インターネット調査
実施時期:2023年3月23日~24日
調査実施会社:楽天インサイト株式会社

プレスリリースに関するお問い合わせ先

Adecco Group Japan 広報部
お問い合わせフォーム